第184章

ドアが閉まった、その瞬間。

江原安美の涙は、とうとう堪えきれずに零れ落ちた。

応接室では、川崎佑哉が江原安美の背中を見送っていた。眉間が、無意識にきゅっと寄る。胸の奥に、ちくりと刺すような痛みが走った。速すぎて、掴めない。

佑哉はすぐ視線を切り、腕の中の片石美樹へ目を落とす。

『どうだ。どこか怪我はないか?』

『私は大丈夫、佑哉。ただ……ちょっと怖かっただけ』

片石美樹は彼の胸に身を寄せ、赤く潤んだ目で、わざとらしく訴え始める。

『私のせいなの。江原さんに、デザイン案を何度も直させちゃって……』

『きっと何日も徹夜で描いて、疲れ切ってたんだと思う。だから不満が溜まってたんだよ...

ログインして続きを読む