第196章

江原安美は、もう川崎佑哉のことを考えないようにした。家へ戻ると、いつも通り稲子と遊び、稲子のごはんを作り、寝かしつける。

まるで何もなかったみたいに――普通の人みたいに、生きていこうと必死だった。

そもそも、川崎佑哉がいなきゃ生きられないわけじゃない。

彼がいなかった頃だって、ちゃんと暮らしていた。

今だって、できる。きっと。

そこへ早村寧美が遊びに来た。

江原安美が、いつもと変わらない顔でパソコンの前に座り、ジュエリーのデザイン画を修正しているのを見て、寧美は目を瞬かせる。

『佑哉と結婚するの?』

『しないよ。これは、彼の婚約者の指輪』

『婚約者って……』早村寧美は言いか...

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