第200章

江原安美は川崎家を出てから、まっすぐ自宅へは戻らなかった。

車を走らせ、あてもなく街を何周もする。頭の中では、さっき見た光景が何度も何度も再生されていた。片石美樹が、川崎佑哉の部屋から出てきた――あの瞬間。

ハンドルを握る指の関節が白くなる。胸の奥に綿を詰め込まれたみたいで、息がうまく吸えない。

佑哉が病気だということも、いまは何も覚えていないことも、彼の行動が本意じゃないことも、分かっている。

それでも、苦しい。

その苦しさは潮みたいに押し寄せては引いて、また押し寄せてきて――気づけば安美の全身を沈めていた。

ピロン、とスマホが鳴った。

画面を開くと、見知らぬ番号から画像が届...

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