第36章

川崎お爺さんは椅子に腰を下ろしたまま、杖を握る指にぎゅっと力を込めていた。顔色は鉄のように青く、部屋の空気は重たく沈み、今にも雫になって落ちてきそうだ。

江原安美は華奢な肩をかすかに震わせている。涙はもう枯れ、瞼は真っ赤に腫れていた。

廊下の向こうから、落ち着いた、しかし芯のある足音が近づく。次の瞬間、扉が開き、川崎佑哉が入ってきた。

「お爺さん、急に呼び戻すなんて、いったい何の——」

言葉が途中で途切れた。視線が部屋の片隅に立つ江原安美を捉え、佑哉は目を細める。

「お爺さん」

佑哉はお爺さんへ向き直った。

「俺たち二人を呼び出したのは、どういうつもりだ」

川崎お爺さんは杖を...

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