第44章

江原安美の胸の内は、激しい波にさらわれたみたいに荒れ狂っていた。

必死に手に入れたはずの離婚協議書が、ただの紙切れだったなんて。

自分の迂闊さが腹立たしい。受け取ったその場で開いて確かめていれば、こんな笑いものにはならなかったのに。

悔しくて、怒りも湧いて、胃の奥がきりきりする。

――けれど今は、カメラがいくつも向けられている。

表情を崩すことは許されない。

江原安美は奥歯を噛みしめ、頬の筋肉を無理やり持ち上げた。笑っているふりをする。

芸能ゴシップ誌の記者は呆然とし、他社の記者たちは我に返ったようにシャッターを切り続けた。パシャパシャと、容赦のない音が会場を埋める。

「最後...

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