第68章

彼女が出ていって間もなく、川崎佑哉が店内へ入ってきた。

『さっき戻ってきたのは何しに? 返品か?』

『違います。お客様にお渡しするよう、メモを預かっております』

店員は、先ほど江原安美が置いていった小さなメモを差し出した。

【川崎佑哉。あなたって分かってる。もう来ないで】

川崎佑哉はそれを見つめ、くしゃりと丸めて捨ててしまおうとした。

だが――江原安美が残したものだと思うと、指が止まる。

ようやく川崎お爺さんの目をかいくぐって居場所を突き止め、地球の半分を飛んで、やっと会えたのに。

まさか、妊娠しているなんて。

腹のふくらみからして四、五か月はある。もし四月過ぎにできた子な...

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