第69章

「赤ちゃん……ママだよ。あなたがママの娘になってくれて、すごくうれしい」

江原安美は、小さな小さな塊みたいなその子を見つめた。じわりと目の奥が熱くなり、まつげの先に涙が溜まる。

「……赤ちゃん……」

声が掠れて、喉が詰まった。

「ごめんね。ママのせいで、生まれたときからパパがいない。でも大丈夫。ママが、パパの分まで――ううん、それ以上に、あなたを愛してあげる」

赤ん坊は目を閉じたまま、ちゅっ、ちゅっと小さな口を動かしている。すやすや、気持ちよさそうに眠っていた。

江原安美はその頬にそっと口づける。泣きながら、笑ってしまう。

「お姉ちゃん、まだ赤ちゃんの名前、つけてないの?」

...

ログインして続きを読む