第76章

夜。

鈴村千雪は家に戻るなり、考えれば考えるほど腹が立ってきた。

ソファに腰を落とすと、頬がじんじんと疼く。まだ熱を持っているみたいだった。

鈴村裕司が寄ってきて、覗き込む。

『ママ、ほっぺ……まだ痛い?』

千雪は作り笑いを浮かべ、息子の頭を撫でた。

『大丈夫よ』

裕司は唇を尖らせる。

『あのガキ、ほんっとムカつく! あと、あいつの母親も! 次に会ったら、絶対ただじゃおかないから!』

千雪は優しく頷きながら、指先で裕司の髪を梳いた。

『ねえ、裕司。パパってすごい人でしょ? 仕返しするなら、今じゃなくて……ちゃんとタイミングがあるの』

『でも……パパ、忙しいじゃん。電話し...

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