第82章

周防岩人は胸の奥がひやりとした。だが表情は崩さず、さらりと返す。

『どうして、そう思われたんです?』

『先週、川崎からも連絡があったんです。ハイエンドのオーダーラインを一緒にやりたいって。私は断りました』江原安美は彼をまっすぐ見た。『個人的な関係で仕事が左右されるのは嫌です。この案件に川崎が絡むなら……申し訳ないけど、私は受けられません』

周防岩人は笑みを浮かべた。

『江原さん、ご安心を。今回のプロジェクトは周防グループの単独運用で、川崎とは無関係です。――まあ、正直に言えば川崎はうちの大口顧客の一社ではありますが、そこはきっちり線を引いてます』

一拍置いて、言葉を足す。

『あな...

ログインして続きを読む