第87章

鈴村千雪は振り向いて彼を見る。『……何が可笑しいの?』

『別に』周防岩人はドア枠にもたれたまま肩をすくめた。『昨日の夜は俺がずっと佑哉の面倒見てたんだぞ。何をそんな心配する必要がある? 心配で一晩眠れなかったって? 俺、そんなに頼りないか? それに眠れてないのは俺のほうだ。俺は何も言ってないのに、おまえが先に文句言うのかよ』

鈴村千雪の顔が一気に赤くなる。『佑哉、あんなに飲んで……あんなに苦しそうだったんだよ? わ、私が心配するの、普通でしょ?』

『へえ』周防岩人は腕を組み、眉を上げた。『俺はてっきり、腹立って眠れなかったのかと思った』

鈴村千雪は顔が引きつり、口元をひくつかせながら...

ログインして続きを読む