第89章

「川崎様……陸田明広は、私の誘いにまったく乗ってきません。それどころか、かなり鬱陶しがってました」

林原佳夕は一拍置き、続けて言った。

「それに今日、彼の彼女も見ました。お昼にお弁当を届けに来てて……二人、すごく仲が良さそうでした」

電話の向こうが、しんと静まる。

「分かった」

川崎佑哉はそれだけ言って通話を切った。

向かいに座る周防岩人が、探るように覗き込む。

「で、どうだった?」

「二人は仲良さげで、陸田明広は彼女に興味なし。ついでに佳夕のことも嫌ってる、だと」

川崎佑哉は低い声で答えた。

周防岩人は顎に手を当てる。

「……それ、本当とは限らねえぞ」

「は?」

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