第92章

江原安美が中へ入って、ようやく伏木織子もいることに気づいた。

眉がすっと落ちる。

『伏木さん。今朝、話は全部ついたと思ってたんだけど。なんでまだ私を探してるの?』

『冤罪だよ。今回はほんとに私じゃないの。あなたを呼んだのは従兄のほう』

伏木織子は脇に座っている男の子へ視線を投げた。

『ね? 従兄』

「そう。いとこに頼んで、センスのあるデザイナーを探してもらったんだ」

古田晃人がにこにこと笑う。

「江原さん、座ってよ。ちょっと一緒に話そう」

「すみません。あなたたちの依頼は受けません」

江原安美は踵を返し、そのまま出ていこうとした。

古田晃人が二、三歩で前へ回り込む。

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