第94章

川崎佑哉は、江原安美を慰めに行こうとした。だが、彼女が自分の慰めなど必要としていないことも――むしろ、自分を嫌悪していることも分かっている。

しばらくその場に立ち尽くし、やがて踵を返して、黙って去った。

江原安美は稲子を抱きしめたまま、しばらく泣いた。ようやく落ち着いて顔を上げ、川崎佑哉に礼を言おうとする。

関係は最悪だ。けれど今日、彼が手を貸してくれなければ、稲子を見つけられたかどうかも分からない。

周囲を見回しても、川崎佑哉の姿はない。

――もう帰ったのだろう。

『ママ、なに探してるの?』

稲子が袖をくいくい引く。

江原安美は小さく笑った。『なんでもないよ』

胸の奥に湧...

ログインして続きを読む