第96章

近くのレストランに入り、空いている席に腰を下ろした。

川崎佑哉がメニューを手に取り、稲子に尋ねる。

「何が食べたい?」

『ハンバーグ!』

「よし、ハンバーグな。他には?」

『アイスクリーム!』

「アイスクリームはごはんのあと」

『……はーい』

川崎佑哉は次々と注文を入れた。ほとんどが、さっき稲子が口にしたものばかりだ。

向かいに座る江原安美は、佑哉が不器用に稲子の世話を焼く様子を見つめながら、胸の奥が苦くざわつくのを感じていた。

もし、あのとき二人の間に鈴村千雪がいなければ。

あそこまで拗れなければ――もしかしたら、本当に幸せな三人になれていたのかもしれない。

けれど...

ログインして続きを読む