第97章

江原安美は無理やり深呼吸して、まず陸田明広にメッセージを送った。稲子に何かあった、と。そうして外へ駆け出しながら、警察にも通報する。

車に飛び乗った瞬間、スマホが鳴った。見知らぬ番号。

『江原さん』

受話器の向こうの声は、男とも女ともつかない。

『娘に会いたい?』

ハンドルを握る指に力がこもる。

『あなた誰? うちの子に何したの?』

『そんなに構えないで。ちょっとお話したいだけだよ』

相手はやけに気楽な調子だった。

『一人で来て。誰にも言わないこと。もし余計な真似をしたら、娘がどうなるか……保証できない』

『場所、送って』

江原安美は通話を切り、すぐ陸田明広にもう一通打...

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