第99章

伏木織子は数秒、彼女をじっと見つめた。――そして、ふっと笑う。

『江原安美。その条件、なかなか面白いじゃない。いいわ、勝負してあげる』

二人はスタート地点まで歩き、プールサイドに並んで立った。

江原安美はゴーグルを直し、横目で伏木織子を見やる。

『準備は?』

『できてるよ』

伏木織子は口元をつり上げた。

『ただし、負けて泣くのはやめてね。目ぇ腫らしたら、帰って荷物まとめるとき見えないでしょ』

江原安美は取り合わず、正面を向く。

『一緒に数えるよ』

『1、2、3――スタート!』

二人は同時に水へ飛び込んだ。

ばしゃん、と水しぶきが上がる。

江原安美の泳ぎは上手かった。...

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