第10章

一ヶ月後。裁判所の証人席に立った俺は、記者や傍聴人で埋め尽くされた傍聴席を前にしていた。被告人席には桃子が座っている。手錠をかけられ、完璧だったはずの化粧は崩れ、髪は乱れ、その瞳には絶望と憎悪が宿っていた。

「俺は、妻の玲奈と娘の希美の名誉を回復したいのです」俺は落ち着いた声で言った。「皆さんに、真実をお話ししたいと思います」

俺が玲奈の最後のビデオメッセージを再生すると、桃子は突然取り乱して大声で叫んだ。「全部嘘よ!あの女は詐欺師だったのよ!悟は私のものよ!」

裁判長が静粛を促す。「被告人、静かにしなさい」

俺は続けた。記憶喪失だった俺を桃子がどう操ったか、どう証拠を偽造し...

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