第106章 傷つき疲れて、もう限界になったら本当にいなくなる

「じいさん、週末はたしかに授業はないけど、彼女は途中から大学に入り直したんだ。取り戻さなきゃいけない課題も多いし、忙しくて週末は帰ってこられないよ」

紀藤瑛介は腰を下ろし、紀藤正博の提案をきっぱり退けた。

あの日、病院を出てからというもの、瑛介が結城凝香に電話をかけても出ない。病院で顔を合わせても、凝香は彼のことなど見えていないかのように素通りした。

倉本浩の前にいるときだけ、二人は表面上の平穏を保つ。

瑛介にも理由はわかっていた。自分が葉月清奈を庇ったから、凝香は怒っているのだ。

けれど瑛介は葉月清奈に「守る」と約束してしまっている。その約束のことを、凝香に話すわけにもいかなかっ...

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