第110章 俺が出ていけばいいんだろ。後悔するなよ!

葉月清奈は、紀藤瑛介の言い分など端から信じていなかった。ぐっと堪えたものの、結局は胸の内を吐き出してしまう。

「瑛介……あなた、結城凝香のこと好きになったんじゃないの? だから、もう離婚したくないんでしょう?」

紀藤瑛介は眉をひそめた。

答えたくない。――いや、答えられない。

自分の気持ちが、まだ定まっていない。結城凝香が自分にとって何なのか、どこに置けばいいのか、それすら掴めていないのだから。

「……ちゃんと休め。明日、秘書に迎えに行かせる」

それだけ言い捨て、紀藤瑛介は踵を返してドアへ向かった。

ドアノブに手をかけた瞬間、体の奥からかっと熱が湧き上がる。

経験のある紀藤瑛...

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