第112章 結城凝香に会いに行ったのか

彼女は布団を引き寄せ、頭からすっぽりとかぶって身を固くした。顔には驚きと、必死に堪える色、それに少しの悔しさが滲んでいる。

秘書から「結城凝香は来ていない」と聞かされた紀藤瑛介は、昨夜そばにいたのは藤井星蘭だと決めつけた。

とくに、床に落ちたスカートに血の痕があるのを見た瞬間、確信に変わった。昨夜の自分は藤井星蘭を結城凝香と見間違えただけで、結城凝香本人は最初から現れていない――そういうことだ。

「……で、何が欲しい? 金なら出す。まとまった額を渡す。お前が一生困らないくらいには」

自分が一方的に踏み込んだのは事実だ。紀藤瑛介は補償のつもりでそう言った。

藤井星蘭を自分のそばに置く...

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