第115章 誤解、絶対に誤解だ

紀藤瑛介が出ていった途端、結城凝香は空気の抜けたボールみたいに、ベッドの端へどさりと腰を落とした。

ずっと離婚するんだと自分に言い聞かせてきた。なのに、瑛介が「署名する」と口にした瞬間、胸の奥がすうっと冷えて、代わりにぽっかり穴が開いたみたいな喪失感が湧いた。

――まだ、好きなのだ。

そうでなければ、あんなふうに距離を縮めたりしない。

彼の心に自分がいたのかどうか、気にしたりもしない。

葉月清奈のほうが大事なのかなんて、痛いほどわかっているのに、わざわざ確かめようともしない。

それでも、後悔はない。

このまま瑛介のそばにいれば、苦しむのはきっと自分だ。長く痛むより、短く終わらせ...

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