第116章 はい、わざとです

結城凝香が授業を終えて寮に戻った直後、小林智美のアシスタントから電話が入った。

「結城さん、今お時間ありますか。……警察署まで来てください。小林さんが、トラブルに巻き込まれました」

「智美が? 何があったの?」

胸がざわつき、凝香はそのまま寮の外へ足を向ける。

「結城さん、来てからお話しします。電話だと説明しきれなくて……」

切羽詰まった声色。小さな揉め事ではない、と直感した。

凝香は一度息を整える。

「わかった。今すぐ行く」

玄関を出たところで、ちょうど戻ってきた葉月祐希とぶつかりそうになった。凝香の慌ただしい様子に、祐希が眉をひそめる。

「凝香、どこ行くの? そんなに急...

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