第120章 彼女を連れてきて何をするつもりだ?

紀藤瑛介と藤井星蘭が連れ立って階段を下りてきても、結城凝香は二人に気づかなかった。

気づかせなければ意味がない。そう思った藤井星蘭は、わざわざ待合スペースまで歩いていき、にこやかに声をかける。

「結城さん、ここで紀藤社長を待ってるんですか? 紀藤社長、私をバーに連れてってくれるんです。よかったら一緒に行きません?」

紀藤瑛介は彼女から数メートル離れていたが、その言葉は全部聞こえていた。それでも否定しない。

――否定しない。

その黙認が、結城凝香の胸に火をつけた。

自分はここで待っているのに、彼は「忙しい」のひと言で会うことすら拒んだ。なのに実際は忙しくもなく、別の女を連れてバーで...

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