第34章 彼と一緒にいると、ろくなことがない

謝罪の態度は驚くほど真摯だった。紀藤瑛介が本気で頭を下げているのを見て、結城凝香もそれ以上しつこく追及する気にはなれなかった。

「……わかった。謝罪は受け取る。今回は許してあげるから、もう帰ってくれる?」

「そんなに俺に会いたくないのか? そんなに急いで追い返したいのかよ。前はあんなに俺のことばかり見てただろ。わざわざ自分で料理までしてくれてたのに……」

思わずこぼれたようなその言葉に、凝香は一瞬だけ目を細めた。

――やっぱり、知らなかったわけじゃない。

ただ、彼の目にも心にも自分はいなかった。

だから見えていても、見ないふりをされていただけ。

凝香は鼻で笑った。

「へえ、知...

ログインして続きを読む