第36章 共に夕食をとる

紀藤瑛介は、結城凝香を抱き上げて寝室まで運んでやりたい気持ちを抑えた。下手に踏み込みすぎれば、せっかく近づいた距離がまた元に戻ってしまう。――それだけは避けたい。

「じゃあ、俺は帰る。夜また様子を見に来るよ。薬も塗るから。動けるならいいけど、なるべく動かないで。悪化したら困る」

思わず、口うるさく念を押してしまう。

玄関まで行ってから、瑛介はふっと振り返った。

「何かあったら……遠慮せず電話して」

凝香は手をひらひらさせて追い払うように言う。

「はいはい、わかった。子どもじゃないんだから。もう行って」

口調は少し不機嫌だ。けれど、会った瞬間に追い返されたり、そもそもドアすら開け...

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