第57章 紀藤瑛介に補ってやるべきだ

ちょうどそのとき、使用人が用意していた滋養食を運んできた。

結城凝香はダイニングへ足を向ける。紀藤正博の厚意を、無下にはできなかった。

結城凝香がきちんと箸をつけるのを見て、リビングでその様子を眺めていた紀藤正博は、見るからに嬉しそうな顔をした。

すると、かかりつけの医師が結城凝香へそれとなく声をかける。

「紀藤夫人。このお食事には、妊娠しやすい体づくりを助ける食材も加えてあります。しばらくは、いつも以上にご休息を意識なさってください」

結城凝香の手がぴたりと止まった。

なるほど。紀藤正博がこれを用意したのは、単なる体調管理のためだけではない。狙いは、妊娠だった。

考えるまでも...

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