第65章 秘書に逃がさせたのは私だ

より大事なのは、結城凝香にきちんと朝食を食べてもらうこと――その一点だった。

結城凝香が目を開けたのを見て、紀藤瑛介は衣類を広げて見せる。

「秘書に届けさせた服だ。どっちがいい? 朝飯も用意してある。食べたら会社に連れていく」

用意されていたのは二着。

淡いブルーのビジネススーツと、レモンイエローの膝丈のワンピース。ワンピースはオフショルダーで、どちらかといえばカジュアル寄りだ。

きりっとしたできる女と、明るい可憐さ。

二つのテイストを前に、結城凝香は少しだけ迷ってから、淡いブルーのスーツを指した。

「これにする」

本当は、レモンイエローのほうが好みだった。

けれど昨夜、紀...

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