第66章 よくものうのうと来られたものだ

紀藤瑛介の焦った様子を見て、温井賢人は直感した。――これは結城凝香に関わることだ、と。

彼は一歩踏み出し、紀藤瑛介の進路を塞ぐ。

「凝香に会いに行くつもりだろ。何かあったのか?」

「彼女に何があろうと、お前に関係ないだろ。どけ。邪魔だ」

結城凝香に危険が迫っているかもしれない。今の紀藤瑛介に、温井賢人と揉めている暇はなかった。

だが温井賢人も引かない。

「ちゃんと話さないなら、通さない」

この先、メディア対応になる可能性もある。ここで揉めて醜態を晒すわけにはいかず、紀藤瑛介は胸の苛立ちを押し殺した。本音を言えば、今すぐ殴り倒してでもどかしたい。

それでも声を低く整え、手短に告...

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