第70章 そもそも戻って住むつもりはない

「……本当なの。あなた最近、別荘には全然戻らないで、毎日本邸に帰ってるって……それに結城さんも、まだ本邸にいるって聞いたし……」

葉月清奈は本気で怯えていた。

その言葉に、紀藤瑛介の中で揺れていたものが、すっと固まる。

言ったなら、やり遂げる。それが葉月清奈にした約束だ。果たさなければならない。

「安心して。結城凝香は、もう本邸に住み続けない。大学に戻して、寮に入れる手配をした。俺とあいつは――これ以上、夫婦として近づくこともない」

葉月清奈は内心で小さく快哉を叫びつつも、同時に黒い嫉妬が胸を刺した。

どうして結城凝香だけが、学業に戻れるの?

しかもその手配を、瑛介がしてやるな...

ログインして続きを読む