第73章 紀藤瑛介は結城凝香が大学の授業中に居眠りしていることを知っている

葉月祐希は上機嫌だった。

家の事情は、実のところかなり恵まれている。けれど彼女はそれをわざと隠していた。欲しいのは「葉月家の肩書き」に群がる取り巻きじゃない。ちゃんと自分を見てくれる、本物の友だちだった。

周囲の目には、祐希は特に後ろ盾もない、ごく普通の子に映っている。

それに見た目だって、派手に目を引くタイプじゃない。

そのせいで――彼女は今まで、心から信じられる友だちを一人も作れずにいた。

そんな祐希にとって、結城凝香は初めての存在だった。

家柄も、外見も、そんなものに頓着せず、自然に距離を詰めてくる子。

その瞬間、祐希は凝香を「身内」だと決めた。

ぱっと花が咲くように笑...

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