第75章 私の義姉さんになってください

葉月清奈はタイミングをきっちり計っていた。結城凝香が外へ出ようとした、その一歩手前で葉月清奈の声が耳に入り、続けて紀藤瑛介の姿が視界に入る。

紀藤瑛介が葉月清奈を気遣う様子も、彼女を抱き上げて連れていくところも、すべて凝香の目に映った。けれど胸の内は、驚くほど凪いでいた。

あの日――紀藤瑛介は迷いもなく「凝香が清奈を突き飛ばした」と決めつけ、彼女をひとり置き去りにして葉月清奈を抱えて病院へ向かった。あの瞬間にもう、凝香は理解していたのだ。紀藤瑛介の心の優先順位で、いちばん上にいるのは葉月清奈だと。

お手洗いを出た凝香は、葉月祐希を見つけて声をかける。

「祐希、帰る?」

祐希ももうバ...

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