第79章 謝罪、さらに損害賠償も

紀藤瑛介は険しい顔のまま正門を出た。秘書が彼の背を追い、車に乗り込むのを見届けてから尋ねる。

「紀藤社長、こんなに早く片がつくなんて。奥様のほうが悪いわけではなさそうですね。では、このまま会社へ戻りますか」

「片づいてない」

紀藤瑛介はぶっきらぼうに言い捨てた。顔つきはさらに険しくなる。秘書が思わず目を丸くすると、彼は苛立ちを噛み殺すように続ける。

「結城凝香が『自分で解決できる』と言った。なら放っておけ。俺は、あいつが俺に頼みに来るまで待つ。ここで待機だ」

秘書は、強がっているのが見え見えの横顔を見て、言葉を失った。

気にしているくせに、絶対に口にはしない。むしろ、どうでもいい...

ログインして続きを読む