第84章 隠れる必要なんてない。隠れるべきなのは君じゃない

だが、休憩室の中にあるのはベッドが一台だけだった。

紀藤瑛介は一瞬、足を止める。葉月清奈に「結城凝香とは一緒に寝ない」と約束してしまっている。

その迷いを見抜いたのだろう。結城凝香が先に言った。

「私、ソファで寝る。ここのソファ、大きいし。休めるから大丈夫」

瑛介は約束を理由に反対せず、二人は休憩室で一夜を明かした。

――翌朝。

目を覚ました二人は、なぜか同じベッドの上にいて、しかもやけに距離が近かった。

昨夜の最後に何があったのか、誰にもわからない。互いに目を合わせても、どちらもその話題には触れなかった。

瑛介は着替えながらクローゼットを覗き、そこに自分の服しかないのを確認...

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