第92章 彼は君にふさわしくない

葉月清奈が車のドアを開けて乗り込むと、土田正樹は自分の車でそのまま走り去った。

秘書は紀藤瑛介の機嫌が悪いのを察していた。けれど、何を言えばいいのかわからない。

前に一度、結城凝香を庇うようなことを口にしただけで、紀藤瑛介から「結城凝香に懐柔されたのか」と疑われた。あれ以来、秘書は結城凝香のことになると迂闊に言葉を挟めない。結局、黙るしかなかった。

紀藤瑛介は葉月清奈を自宅まで送り届ける。

彼女が家の中へ入った直後、スマホが震えた。

画面に表示されたのは、短いメッセージと添付画像。

開いた瞬間、紀藤瑛介の指先がぴくりと強張る。

大学の正門前。

倉本浩が結城凝香を送り届けている...

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