第93章 紀藤社長は君に本当に優しい

部屋に入った途端、ふたりはもう自分を抑えられなかった。ドアが閉まるや否や、互いの唇を奪い合う。熱を帯びた空気に、部屋の灯りさえ照れたみたいに揺らいだ気がした。

玄関からベッドまで、途切れないキス。服は一枚、また一枚と床へ落ちていき――最後には、何も残らない。

そのままベッドへ倒れ込む。肌と肌が重なり合い、胸の奥に、言葉にならない吐息がすっと走った。満たされる。けれど、それだけじゃ足りない。

もっと近く、もっと深く。

すべてが自然に流れていき、紀藤瑛介がついにそこへ辿り着いた瞬間、ふたりの身体は一気に報われた。

あとは、わざわざ語るまでもない。

その夜、ふたりは心も身体も、飽きるほ...

ログインして続きを読む