第94章 彼女にはもう彼氏がいる

結城凝香は、どうしても自分の本心に逆らえなかった。

本当は好きなのに、ネックレスをゴミ箱に放り投げるなんて――そんなこと、できるはずがない。

彼女は箱の中央に収まっていたネックレスをそっと取り出し、首にかける。

鏡の前で角度を変えながら、じっくり眺めた。

……やっぱり綺麗。

そして、驚くほど自分に似合っている。

凝香は写真を一枚撮って、小林智美に送った。

「智美、このネックレス、どう? 似合う?」

すぐに返信が返ってくる。

「わあ、めちゃくちゃ綺麗! 誰にもらったの? 紀藤瑛介? それとも倉本浩?」

「どっちも同じじゃない」

苦笑しつつ、凝香は事情をかいつまんで説明した...

ログインして続きを読む