第109章

江原信也は瞳孔をきゅっと縮め、とっさに後ろへ二歩下がった。そうしてようやく、和泉静留の蹴りを紙一重でかわす。

『さっさと消えろ!』

殺意を孕んだその眼差しに射抜かれ、江原信也の頭は一瞬、ぷつんと切れたみたいに真っ白になった。

次の瞬間には捨て台詞だけ残し、踵を返して逃げ出す。背中はみっともないほど慌ただしい。

『和泉静留……覚えてろよ。お前らのこと、絶対に許さねえからな!』

『ママ、大丈夫?』

厄介者が去った途端、華蓮が真っ先に手にしていたおもちゃのフォークを放り出し、和泉静留の胸へ飛び込んだ。

隣で翔太も、小さな声でたずねる。

『……平気?』

『うん、大丈夫』

子どもた...

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