第111章

平岩空人は諦めきれず、何度も何度もかけ直した。最初のうちは、どれも同じアナウンス――機械的な女声が淡々と「おかけになった電話はおつなぎできません」と繰り返すだけ。

だが、何度目かの発信で、音がふっと変わった。

『ただいまお話し中です』

話し中――?

平岩空人は眉をきゅっと寄せた。胸の奥に、嫌な予感がじわりと広がる。

こんな夜更けに、和泉静留は誰と通話している?

もし本当に通話中なら、彼女はいまスマホを手にしているということだ。

それなら、さっきから自分がかけている着信だって見えているはず。なのに、どうして出ない?

腹を立てているにしても、説明する機会くらいはくれてもいいだろう...

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