第113章

『お母さん!』

和泉静留は駆け込んだ。警官たちよりも、誰よりも速く。

足元がもつれて何歩かよろめき、それでも床に倒れ伏す女の前へ転がり込むように膝をつく。声は涙にぐしゃぐしゃで、言葉にならない。

『お母さん、やっと見つけた……! どうして、こんな……縛られて……! 和泉国見は? あいつ、何をしたの!?』

静留は叫びながらも手は止めず、母の身体に食い込む縄を必死にほどいた。口に押し込まれていた汚れた布を引き抜き、さらに強力テープも乱暴に剥がす。

『げほっ、げほっ……!』

新しい空気を吸い込んだ瞬間、母は堪えきれず咳き込み、身体をえびのように折り曲げた。見るからに衰弱している。

『...

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