第115章

和泉静留は不安げに指を絡め、俯いたまま唇を噛んだ。

『あのときは、ほかに道がなかったんです。あのまま葬儀場にいたら、師傅にもっと迷惑――いえ、もっと傷を負わせることになる。だから、出ていくしか……』

『師傅、本当に……ごめんなさい』

和泉静留は深々と頭を下げた。目尻に涙が溜まり、今にもこぼれそうになる。

世間では、殡儀館は縁起が悪い場所だと言われる。

けれど和泉静留にとって、あそこは第二の家だった。嫌だと思ったことなど、一度もない。

生きる拠り所から引きはがされる苦しさは、言うまでもない。

『謝らなくていい』

館長は慌てて静留を支えた。

『言わなくても、だいたい察しはついて...

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