第117章

周防正平が和泉静留の存在を知っている以上、ここを突き止めて押し連れていく可能性だってある。

だから時間がない。急いで、静留に全部――きちんと話しておかなければ。

和泉静留は、平岩空人を黙って見つめていた。

ほんの一分にも満たない時間なのに、頭の中をいくつもの考えが駆け抜ける。まるで、この瞬間だけ時が凍りついたみたいに。

何日経った?

助けを求めても、天は答えず地も応えない。結局、希望のすべてを平岩空人に預けるしかなかった。自分を、そして母を救ってくれと――。

なのに、彼は現れなかった。

電話を何度かけたか、もう数えられない。それでも平岩空人は、一度だって返してくれなかった。

...

ログインして続きを読む