第118章

換気扇の外にある室外機の唸りだけが、ずっと耳に残っていた。

和泉静留が中で何をして、何を口にしたのか――それは一切、聞こえない。

静留は平然を装ってはいたが、手元の不器用さがそれを裏切っていた。

普段なら一時間ちょっとで作れる食事が、今日は二時間もかかった。

最後の一品が食卓に並んだ頃には、もう午後二時近い。

「ごはん、食べて」

静留は翔太と華蓮の茶碗によそい、手元に置くと、顔を伏せたまま淡々としている。まるで平岩空人など、この家に存在しないかのように。

和泉母が玄関のほうを二度ほど気にしてから、小声で言った。

「静留、さっき玄関まで見てきたけど……まだ帰ってないよ」

静留...

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