第134章

華蓮がふわふわの小さなケーキだとしたら、翔太はごつごつした硬い石ころだ。そこだけは、妙にあの人に似ている。

喜怒は顔に出さない。胸の内は他人に見せない。――翔太を形容するなら、それがいちばんしっくりくる。

『翔太』

平岩空人は顔をぱっと明るくし、思わず翔太の手を取ろうとした。ところが、次のひと言でその喜びはぷつりと途切れる。

『早く元気になってよ。そしたらママ、家に帰れるでしょ。ママ、もう何日も家にいないんだよ』

『ママに会いたいのにさ。ぜんぶ君のせいだよ、ママを独り占めして。ぼく、ママとちゃんとおしゃべりできてない』

和泉静留は、こらえきれず吹き出した。

なるほど。平岩空人に...

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