第145章

『なんで不安なの?』

 和泉静留にはいまひとつ理解できない。『あなた、あの子たちの父親でしょう? まさか自分の子を害したりしないよね?』

『もちろん害さない』平岩空人はうなずいた。『でもさ、君だって子どもたちのこと、考えないの? 俺が連れて帰ったら、あの二人がまたここに戻ってくるのは簡単じゃなくなる』

『どうして?』静留の胸がきゅっと締まる。

 その言い方だと、二人が帰るのは平岩家じゃなく、龍の巣か何かみたいじゃない。

 平岩空人の目に一瞬だけ光が走り、声はやけに軽い。『理由は簡単。あの子たち、向こうへ行ったら家の中のもの全部に目を奪われるよ。見たこともないものが山ほどある。そうな...

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