第38章

平岩空人の慰めで、ふたりの子どもの不安はひとまず落ち着いた。

だが、運命の歯車は止まってくれない。

午後、和泉静留のスマホが鳴った瞬間、神経が一気に張り詰めた。

「……どうしたの?」

電話の向こうの江原信也は何か対応中らしく、雑然とした物音が混じっている。

「今夜、急用ができた。迎えをやれない。お前が自分で来い。20時、帝国ホテル8808。遅れるな。余計な真似もするな。俺が言ったこと、忘れるな」

静留が何か言う間もなく、通話はぶつりと切れた。

ぎゅっとスマホを握りしめ、ツーツーという虚しい音を聞きながら、胸の底に重いものが沈んでいく。

江原信也は、本当に一瞬たりとも――あの件...

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