第46章

薄暗いバーの中、音楽だけが耳をつんざくように鳴り響いていた。

和泉白子はカウンターに腰かけ、強い酒を一杯、また一杯とあおっていた。

グラスの中で揺れる琥珀色を見つめながら、脳裏に浮かぶのは、ついさっきの江原信也の複雑な表情ばかり。

和泉静留なんか、あんなクズ、どこが自分に勝っているというのか。どうして江原信也があれに心を動かされるのか――白子には、どうしてもわからなかった。

そのときだった。

ふいに伸びてきた手が、彼女の前にあった、なみなみと注がれたグラスをさらっていく。

白子は苛立ちのまま振り向き、次の瞬間、見覚えのある艶っぽい目と視線がぶつかった。

その顔には覚えがある。三...

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