第47章

「どこへ行ってた?」

江原信也の声には、押し殺した怒りが滲んでいた。和泉白子の心臓がひゅっと跳ねる。けれど彼女は、顔だけはすぐにいつもの静けさへ戻した。

玄関でバッグをフックに掛け、淡々と言う。

「友だちとバーでちょっと飲んでただけ。なに? あんたにムカついたら、お酒飲む自由もないってわけ?」

先に噛みつき、話の主導権を奪い返す。そうすれば、核心から目を逸らせる。

江原信也が勢いよく立ち上がり、大股で白子の前に詰め寄った。

彼は白子より頭ひとつ分高い。見下ろされるだけで息が詰まるほどの圧が、全身を覆ってくる。

「……酒を飲んだだけ?」

江原信也は鼻で笑い、いきなり白子の顎を掴...

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