第58章

それに、彼には片づけるべき仕事が山ほどあった。組織が彼を必要としている以上、そう簡単に抜けるわけにはいかない。

たとえ一時的に和泉静留のもとへ戻れたとしても、長くはもたない。二日もすれば、またここへ引き返さなきゃならない。そのとき、今度はどんな言い訳で静留を騙すつもりだ?

一度、彼女を欺いた。平岩空人は、これ以上嘘を重ねたくなかった。

だったら――組織の問題を全部片づけてから会うほうがいい。

だが、それはいつ終わる?

空人が不在にしていた間に、裏切り者が何人も湧いて出た。

外から無理やりねじ込まれた駒なら、処理して終わりで済む。けれど空人が耐えがたかったのは、何年も自分についてき...

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