第73章

和泉白子はまだ言い足りないことがあったが、青崎ユリカはもう部屋を出ていってしまった。

廊下の向こうから、和泉国見が怒鳴り散らす声が響く。耳を刺すようにうるさい。

白子は苛立ちまぎれに髪をぐしゃっと掻き、重いため息を落とした。

解決したいのは山々だ。けれど、いい手がまるで思いつかない。ここまで騒ぎが大きくなれば、江原信也の耳にも入っているはずなのに――今に至るまで、向こうからは一切連絡がない。

江原信也の顔が脳裏に浮かんだ瞬間、白子の目がぱっと光った。

「……そうだ」

慌てて電話をかける。呼び出し音は短く、すぐに繋がった。

『信也、助けて』

白子は息を詰めるように言った。

『...

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