第89章

和泉母の値踏みするような視線が、平岩空人に落ちた。瞳の奥で、きらりと鋭い光が走る。

――この人、静留とただの知り合いって感じじゃない。

平岩空人は問いかけられ、胸の内にじわりと緊張が広がった。

『はじめまして。静留さんの友人の、平岩空人です』

そう言って、彼は自分から手を差し出した。

和泉母は静かにうなずき、軽く握り返してから手を引く。続いて和泉静留へ視線を移し、その眼差しだけがふっと柔らかくなる。

『……お母さん、家に帰ろう。私が迎えに来たの』

和泉静留が唐突に切り出すと、和泉母は一瞬、息をのんだ。心が揺れたのは確かだ。けれど、すぐに表情を引き締める。

『今のあなたは、子ど...

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